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経口妊娠中絶薬RU486による中絶後の感染症について

 経口妊娠中絶薬RU486による中絶を行った後、感染症にかかる可能性は非常にまれです。脱力感、吐き気、嘔吐、下痢、24時間以上発熱が続いたり、あるいは38度以上の発熱がある場合、腹部に痛みがある場合、腹部がひりひりとしていたり触ると痛かったり、長時間多量の出血がある場合、膣から悪臭のする分泌物がある場合、感染症の疑いがありますので、すぐに医師のもとに行く必要があります。感染症は抗生物質で治療する必要があります。

 ミソプロストール服用後すぐに始まり、24時間以内でおさまる38 ℃以下の発熱は、よくある副作用です。発熱が24時間以上続く場合、あるいは38℃より高い場合、診察を受ける必要があります。

 経口妊娠中絶薬RU486による中絶は、中絶手術が女性の健康に危険をおよぼす可能性の高い場所や、安全な中絶を受けられる機会が制限されている場所における安全な代替法です。感染症のリスクは、女性が出産する時のほうが、薬による中絶を行うときよりも高いです。

 中絶後の感染症は、経口妊娠中絶薬RU486による中絶の研究において特定の感染症の類型として定義されてはいません。報告されている感染症のうち最も一般的なものは、子宮の内膜や生殖管の感染症の子宮内膜炎です。生殖器官や尿路系の感染症が含まれることがあります。クロストリジウムソルデリ敗血症は、人工妊娠中絶後に発症する別の型の感染症ですが、極めてまれです。クロストリジウムソルデリ感染症に関連した感染症により死亡した女性の事例を分析した医師は、感染症は薬による中絶に関係していたものの、ミフェプリストンとミソプロストールを用いた薬による中絶の一般的に証明された安全性を揺るがすものではないことを明らかにしています。クロストリジウムソルデリは、出産したばかりの女性にも致命的な感染症をもたらすことがあり、経口妊娠中絶薬RU486による中絶を行った女性だけに影響を与える感染症ではありません。

 クロストリジウムソルデリ感染症の場合、この感染症に関連する次のような特異で特徴的な徴候や症状に特に注意が必要です。発熱の欠如、難治性の低血圧、血液濃縮、複数の漿膜腔{しょうまくくう}における体液の浸出(effusions in multiple serous cavities)、劇的な白血球の増加といった症状です。カナダの女性が2001年に、似たような状況下で同じ細菌感染症により死亡しました。この件に関してフィッシャーらが雑誌(p.2352~2360)に記載している気がかりな側面には次のようなものが含まれます。すべての女性が若くて健康であったこと。処方は一見うまくいっていたこと。(検死解剖の結果、体内に妊娠の産物は残されていませんでした)。薬の処方後によく見られる痙攣はあったものの、発熱はなかったので、その所見はいくぶん不可解なものであったこと。そしてすべての女性が診察後、驚くほど早く亡くなっているといったことです。これらの若い健康な女性たちの死は悲劇的ですが、薬による中絶という中絶の方法との明確な病態生理学的な関連はなく、数も少なくケースとしては稀です。利用者は、薬による中絶を行う前にそのリスクについて知らされていなければならず、処方後の症状に気をつけなければなりません。

 経口妊娠中絶薬RU486による中絶の研究において、 いくつかの個々の事例の報告が稀にありますが、感染症についての報告はほとんどありません。 アメリカでミフェプリストンを用いて薬による中絶を行った8万人の女性のうち、感染症が報告されたのは10件でした。多くの医学的研究を検討した上で「薬による中絶の処方後の感染症は稀なケースで、46,400件以上の事例のうち1%以内で、中絶手術後の感染症の割合よりもかなり低いという結論に達しました。また、「薬による中絶後に感染症が報告される頻度(0.92%)は、中絶手術や出産の後に感染症が報告される頻度よりも低い」と述べています。

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